トラヴィルへリシャフトしたいと思っても、75・85・95・105・115のどれを選ぶべきかは迷いやすいところです。
特に判断しにくいのが、85と95の違いや、トラヴィル95Sにどの程度のヘッドスピードが必要なのかという点ではないでしょうか。
トラヴィルは、単純に飛距離を伸ばすためのシャフトではありません。アイアンショットの落下角に着目し、グリーンを上から狙いやすい弾道を目指して設計されています。
そのため、弾道の高さや止まりやすさを求める人には合いやすい一方、弾き感の強さや軽快な振り心地を優先する人には合わない可能性があります。
- ヘッドスピードだけで重量を決めない
- 現在使用しているアイアンシャフトの重量を基準にする
- 85・95・105など複数の重量を試打して比較する
- 飛距離だけでなく、打点・弾道の高さ・左右のばらつきを確認する
「95Sはヘッドスピード40〜44m/s向け」といった目安も見られますが、フジクラ公式はモデルごとの適正ヘッドスピードを指定していません。
この記事では、トラヴィルが合う人・合わない人を整理したうえで、各重量の違い、95Sの選び方、スチールシャフトから替えるときの注意点まで解説します。
トラヴィルシャフトが合う人・合わない人
トラヴィルは、アイアンの高さや落下角を整えたい人に向いています。
ただし、カーボンシャフトへ替えれば誰でも打ちやすくなるわけではありません。現在のシャフト重量や好みの振り心地によっては、スチールのままのほうが合うこともあります。
合うのはアイアンの高さと止まりやすさを重視する人
トラヴィルが合いやすいのは、飛距離だけでなく、グリーンを狙うショットの高さや止まりやすさを重視する人です。
スチールシャフトの重量や硬い打感に負担を感じているものの、軽量化してヘッドの位置が分かりにくくなることは避けたい人にも検討する価値があります。
- アイアンの弾道が低く、グリーン上で止まりにくい
- ロングアイアンになると高さを出しにくい
- 硬い打感よりも滑らかな打感が好き
- スチールの重量や衝撃が負担に感じる
- 軽量化してもヘッドの位置を感じながら振りたい
フジクラがツアープロを対象に実施したテストでは、従来使用していたクラブと比べて、落下角が平均1.1度増加しました。
ただし、これはメーカーによるテスト結果の平均です。すべてのゴルファーに同じ変化が出ることを保証するものではありません。
打ち出し角やスピン量は、シャフトだけでなくヘッドのロフト、ボール、入射角、打点にも左右されます。トラヴィルは、こうした条件を含めて弾道を調整するための選択肢と考えましょう。
合いにくいのは弾き感や軽快さを優先する人
トラヴィルは、シャフトが急激に走る感覚よりも、滑らかなしなり戻りやヘッドの操作性を重視した設計です。
そのため、インパクトで強く弾く感覚が欲しい人や、軽量シャフトを速いテンポで振りたい人には、振り心地が合わない可能性があります。
- 低く強い弾道を最優先したい
- 弾き感の強いシャフトが好き
- カーボン特有の振り心地が苦手
- 現在のシャフト重量を大きく変えたくない
- 試打せずヘッドスピードだけで選びたい
また、カーボンシャフトへ替えれば必ず楽に振れるとは限りません。
70g台のシャフトを使っている人がトラヴィル95Sを選ぶと、クラブが重くなり振り切りにくくなることがあります。
反対に、120g前後のスチールを使っている人が85や95へ替えると、軽くなりすぎてタイミングや打点が不安定になる場合があります。
トラヴィルは落下角に着目したアイアン用シャフト
トラヴィルは、フジクラがツアープロによるテストを重ねて開発したアイアン用カーボンシャフトです。
カーボンだけでなく金属とゴムも組み合わせ、弾道だけでなく、打感やクラブバランスにも配慮されています。
カーボン・金属・ゴムを組み合わせた構造
トラヴィルの特徴を理解するうえで押さえておきたいのが、3種類の素材を組み合わせている点です。
それぞれの素材には、剛性を作る、重心を調整する、しなり戻りを制御するといった異なる役割があります。
- カーボン:手元側の剛性を抑え、先端側を高剛性化
- 金属:重心位置を調整し、スチールに近いクラブバランスを作りやすくする
- ゴム:柔らかな打感と、しなり戻りの細かな制御に使用
手元側の剛性を抑えながら先端側を高剛性化する「Tour Ability Structure」により、シャフトの粘り感とヘッドの操作性を両立する設計です。
詳しい構造やメーカーのテスト結果は、フジクラ公式のTRAVIL IRON製品ページで確認できます。
スチールに近いクラブバランスを作りやすい
一般的なカーボンシャフトは、同じ重量のスチールシャフトと比べても重心位置が異なることがあります。
トラヴィルは金属を複合することで、振り心地を損なわず、スチールシャフトと同等のクラブバランスを作りやすい設計です。
ただし、トラヴィルへ替えるとクラブの総重量やバランスは変化します。スチールと近い重量帯を選んでも、必ず同じ振り心地になるわけではありません。
75・85・95・105・115のスペックを比較
トラヴィルには、75・85・95・105・115の5つの重量帯があります。
同じ重量帯でもRとS、SとXでは重量や振り心地が異なるため、モデル名だけでなくフレックスまで確認しましょう。
| モデル | フレックス | 重量 | トルク | 調子 |
|---|---|---|---|---|
| TRAVIL 75 | R | 75.5g | 2.9 | 中元 |
| TRAVIL 75 | S | 77.0g | 2.9 | 中元 |
| TRAVIL 85 | R | 86.5g | 2.7 | 中元 |
| TRAVIL 85 | S | 88.0g | 2.7 | 中元 |
| TRAVIL 95 | R | 97.0g | 2.3 | 中元 |
| TRAVIL 95 | S | 99.0g | 2.3 | 中元 |
| TRAVIL 105 | S | 108.0g | 2.2 | 中元 |
| TRAVIL 105 | X | 110.0g | 2.2 | 中元 |
| TRAVIL 115 | S | 118.0g | 2.0 | 中元 |
| TRAVIL 115 | X | 120.0g | 2.0 | 中元 |
数値は、メーカーが公表している7番アイアン用シャフトのデータです。組み立て時のカット量などにより、実際の装着重量は変わります。
75・85は軽量化したい人向け
75と85は、軽量スチールやアイアン用カーボンからの移行候補です。
現在70〜80g台のシャフトを使用しているなら、まず75または85を試すと、重量差を抑えながらトラヴィルの振り心地を確認できます。
75はRとSでも75.5〜77gと重量差が小さいため、重量だけでなく、切り返しやインパクトでのしなり方を比較しましょう。
85は75より約10g重く、軽量化しながらも一定の重量感を残したい人に向いています。
95は軽量スチールからの移行候補
95Rは97g、95Sは99gです。90〜105g前後のスチールシャフトを使用している人にとって、比較しやすい重量帯となります。
軽量スチールから極端に重量を変えず、カーボンの滑らかな打感や弾道の変化を試したい場合は、95が有力な候補です。
ただし、同じ100g前後でも、スチールとカーボンではしなり方や重心位置が異なります。
スペック上の重量が近いことだけを理由に購入せず、実際のクラブで確認してください。
105・115は重量感を残したい人向け
105と115は、重量級スチールからの移行候補です。
105Sは108g、105Xは110gなので、100〜110g台のスチールを使っている人が、重量感を大きく変えずにカーボン化したい場合に試しやすいモデルです。
115は118〜120gあります。ダイナミックゴールドなどの重量級スチールを使用している人や、軽いシャフトでは切り返しが速くなりすぎる人の候補になります。
トラヴィルの重量を選ぶときの考え方
トラヴィルの重量は、ドライバーのヘッドスピードだけでは決められません。
現在のシャフト重量とクラブ総重量を基準に、試打で弾道や打点を確認するのが基本です。
ヘッドスピードだけでは決められない
アイアンシャフトの適性は、ヘッドスピード以外にも、スイングテンポや切り返しの強さなどで変わります。
同じドライバーヘッドスピードでも、ゆっくり切り返す人と、強く切り返す人では合う重量やフレックスが異なります。
- スイングテンポ
- 切り返しの強さ
- アイアンの入射角
- 現在のシャフト重量
- ヘッド重量とクラブバランス
- 好みの打感や弾道
「ヘッドスピードが何m/sなら95S」と機械的に決めるのは避けましょう。
フジクラ公式は、75・85・95・105・115について適正ヘッドスピードを指定していません。
数値を断定している販売ページや紹介記事だけで決めず、現在の重量と実際の振り心地を優先してください。
現在のシャフト重量から大きく変えすぎない
最初に試すモデルは、現在使用しているシャフト重量を基準にすると絞りやすくなります。
| 現在のシャフト重量 | 最初に試したいモデル |
|---|---|
| 70〜85g前後 | 75・85 |
| 90〜105g前後 | 95・105 |
| 110〜130g前後 | 105・115 |
この表は適合を保証するものではなく、試打候補を決めるための目安です。
現在の重量から10g以上軽くする場合は、振り切りやすさだけでなく、トップや切り返しでクラブが軽く感じすぎないかも確認してください。
95Sが合う人と重く感じる人
トラヴィル95Sは99gなので、現在90〜105g前後のアイアンシャフトを使っている人が比較しやすいモデルです。
特に、85では軽く、105では重いと感じる人にとっては、中間の候補になります。
- 軽量スチールからカーボンへ替えたい
- 重量を大きく変えずに打感や弾道を調整したい
- 切り返しである程度の重量感が欲しい
- 85では軽く、105では重いと感じる
反対に、70〜80g台のシャフトを使っている人には、95Sが重く感じられる可能性があります。
120g前後のスチールから替える場合は、95Sでは軽くなりすぎることもあります。軽量化が目的でも、105Sや115Sと比較したほうが判断しやすいでしょう。
R・S・Xの選び分け
トラヴィルは、モデルによって選べるフレックスが異なります。
- 75・85・95:R、S
- 105・115:S、X
フレックス表記は、メーカーやモデルごとに基準が異なります。現在Sを使っているからといって、トラヴィルでも必ずSが合うとは限りません。
RとSで迷った場合は、強く振ったときの安定性だけでなく、通常の力感でタイミングを取りやすいかを比較します。
Xは単にヘッドスピードが速い人向けではありません。切り返しが強く、Sではしなり量が大きすぎる人の比較候補です。
スチールシャフトから替えるときの注意点
スチールからトラヴィルへ替えると、打感だけでなくクラブ全体の重量配分も変わります。
シャフト単体の数値だけでなく、完成したクラブの状態で判断する必要があります。
総重量とバランスが変わる
シャフト重量が軽くなると、クラブ総重量も軽くなります。
ただし、ヘッドの効き方を示すバランスは、シャフトの重心位置や長さによっても変化します。
軽量化して振りやすくなっても、ヘッドを感じにくくなれば、打点やスイングテンポが不安定になる場合があります。
リシャフト前には、現在のクラブの総重量とバランスを測定しておくと比較しやすくなります。
クラブバランスの基本は、ゴルフクラブのバランスの見方で詳しく解説しています。
番手ずらしや長さは工房で相談する
シャフトの硬さを調整する方法として、指定された番手と異なるシャフトを装着する「番手ずらし」があります。
ただし、番手ずらしをすると、しなり方だけでなく重量や組み立て可能な長さにも影響します。
自己判断でシャフトを購入すると、希望するクラブ長に組めない可能性もあります。番手ずらしや長さ調整を考えている場合は、購入前にリシャフト工房へ相談してください。
いきなり全番手を替えず試打する
トラヴィルは1本14,300円なので、全番手を交換すると工賃やグリップ代を含めて大きな費用になります。
可能であれば、同じヘッドに異なる重量を装着した試打クラブで比較しましょう。
それが難しい場合は、7番アイアンなど1本だけ組み、練習場やコースで確認してから全番手へ広げる方法もあります。
- 通常の力感で振り切れるか
- トップでシャフトの重さを感じられるか
- 打点が上下左右に散らばらないか
- 弾道の高さと落下角が確保できているか
- 左右のミスが増えていないか
- 連続して打っても負担を感じないか
トラヴィルを購入・リシャフトする前の確認事項
トラヴィルは、シャフト単体で購入して終わりではありません。
工賃やグリップ代を含めた総額と、希望するクラブへ組み立てられるかを確認してから購入しましょう。
シャフト代のほかに工賃とグリップ代がかかる
メーカー希望小売価格は1本14,300円ですが、組立工賃とグリップ代は含まれていません。
例えば6本交換する場合、シャフト代だけで85,800円です。ここに6本分の工賃とグリップ代が加わります。
通販価格だけで判断せず、組み立て後の総額を工房へ確認してから購入しましょう。
- 商品がシャフト単体か完成クラブか
- 希望するモデルとフレックスか
- 必要な番手と本数
- 工賃とグリップ代
- 希望するクラブ長に組めるか
- バランス調整が必要か
- 持ち込みシャフトに対応しているか
通販でシャフトを購入して工房へ持ち込む場合は、持ち込み工賃が通常より高くなることもあります。
先に工房へ相談してから購入すると、シャフトを買ったのに希望どおり組めない失敗を避けやすくなります。
85・95・105から候補を絞って試打する
現在使っている重量が分からない場合は、まず85・95・105の3モデルを比較すると、適した方向を判断しやすくなります。
85が振りやすくても打点が散る場合は95、95で疲れる場合は85、95では軽く感じる場合は105というように候補を調整します。
75は85でも重く感じる場合、115は105では軽く感じる場合の比較候補です。
最終的には「最も速く振れるモデル」ではなく、通常の力感で打点と距離をそろえやすいモデルを選びましょう。
トラヴィルが合う人についてよくある質問
ここでは、トラヴィルの重量選びやスチールシャフトからの変更について、特に迷いやすい点を解説します。
女性やシニアなら75と85のどちら?
年齢や性別だけでは決められません。
現在のシャフトが60〜70g台なら75、80g台なら85を最初の候補にするのが、ひとつの考え方です。
ただし、軽いシャフトほど楽に打てるとは限りません。75では軽くて切り返しが速くなる人が、85にするとタイミングを取りやすくなることもあります。
75と85の両方を試し、連続して打ったときの負担、打点、弾道の高さを比較してください。
モーダス105から替えるなら何グラム?
N.S.PRO MODUS³ TOUR 105の公式重量は、Rが103g、Sが106.5g、Xが112gです。
重量だけで比較すると、モーダス105のSからはトラヴィル105Sの108gが近い候補になります。少し軽量化したい場合は、トラヴィル95Sの99gも比較対象です。
ただし、モーダス105とトラヴィルでは素材や剛性分布が異なります。
重量が近くても振り心地が同じになるとは限らないため、95Sと105Sを同じヘッドで打ち比べるのが理想です。
モーダス105の特徴や重量選びは、モーダス105が合う人と適正ヘッドスピードも参考にしてください。
トラヴィルは飛距離アップ向け?
トラヴィルの主な目的は、単純な飛距離アップではなく、グリーンを狙うための落下角や弾道を整えることです。
シャフトが合うことでミート率が改善し、結果的に飛距離が伸びる可能性はあります。一方で、弾道が高くなることでキャリーとランの配分が変わることもあります。
飛距離だけで判断せず、キャリー、最高到達点、落下角、左右のばらつきを確認しましょう。
ユーティリティにも使える?
フジクラは、トラヴィルにユーティリティ用の40インチ製品も用意しています。
ただし、すべてのユーティリティヘッドへそのまま装着できるとは限りません。チップ径、ホーゼル形状、必要なクラブ長を確認する必要があります。
ユーティリティへ装着する場合も、対応可否を工房に確認してから購入してください。
トラヴィルは重量選びを間違えないことが重要
トラヴィルが合いやすいのは、アイアンの高さや落下角、グリーン上での止まりやすさを重視する人です。
選ぶときは、ヘッドスピードの数字だけで決めず、現在使っているシャフトに近い重量帯から比較しましょう。
- 現在のシャフト重量とクラブ総重量を確認する
- 近い重量帯のモデルを候補にする
- 異なる重量を同じヘッドで試打する
- 打点、弾道、落下角、左右のばらつきを確認する
- 工賃やグリップ代を含めた総額を確認する
トラヴィル95Sは99gで、90〜105g前後のシャフトから移行しやすいモデルです。
ただし、メーカーが特定のヘッドスピードを指定しているわけではありません。
数字だけで決めず、85Sや105Sとも打ち比べ、無理なく振れて打点と距離をそろえやすい重量を選んでください。
